交渉の4つの原則 「選択肢」

交渉の4つの原則 「選択肢」
本記事は、毎週水曜日にお届けしているメルマガ『ウィンベル式 無敵の交渉学』のVol.05を再構成したものです。

交渉における4つの原則「選択肢」とは

前回の「交渉の4つの原則「利益」」に引き続き、交渉において立脚すべき4つの原則について解説します。

交渉で立脚すべき4つの原則(人・利益・選択肢・基準)

本日は、交渉において立脚すべき4つの原則のうち、3つ目の「選択肢」についてお話しします。

選択肢がある交渉と、ない交渉

次のような場面を考えてみてください。

あなたは、ある会社の営業担当者です。

上司から「今日中にX社との契約をまとめてきてほしい」と指示を受けました。

その際、上司から次のような条件を提示されたとします。

条件①
契約金額は100万円以下にしてはいけない。その他の条件についても、一切譲歩してはいけない。
条件②
契約金額やその他の条件について、双方にとって利益になるのであれば、現場判断で調整してよい。

さて、皆さんなら、どちらの条件で交渉に臨む方が余裕を持てるでしょうか。

おそらく、多くの方が「」と答えると思います。

なぜ「選択肢」が重要なのか

その理由は、①には選択肢がないからです。

一方で、②には複数の選択肢があります。

金額を調整することもできますし、その他の条件を変更することもできます。

つまり、合意に至るためのルートが複数存在しているのです。

交渉において、選択肢が複数あることは大きな意味を持ちます

それによって、余裕を持って交渉に臨むことができますし、視野が狭くなることも防ぎやすくなります。

選択肢は「双方の利益」を前提に考える

もっとも、ここで重要なのは、選択肢は単なる思いつきではなく、双方の利益を考慮したものである必要があるという点です。

前回お話しした「利益」の原則でも触れましたが、自分と相手の双方の利益に着目しながら選択肢を考えることで、優れた合意に近づくことができます。

選択肢が思いつかないときに陥りやすい思考

そうは言っても、選択肢が思いつかない」と感じる方もいるかもしれません。

そのような場合、次のような思考に陥っている可能性があります。

自分でアイデアを切り捨ててしまう

思いついた選択肢に対して、「どうせ相手は受け入れないだろう」と考え、自分で却下してしまうケースです。

しかし、選択肢を受け入れるかどうかを決めるのは相手です。

最初から自分で可能性を閉ざさないことが重要です。

たった一つの答えを探してしまう

交渉には唯一の正解しかないと思い込んでしまうと、思考が行き詰まります。

しかし、「利益」が明確になれば、そこへ至る方法は一つではありません

複数のルートが存在するはずです。

パイの大きさは固定されていると思い込む

限られた利益をどう分け合うかだけを考えてしまう状態です。

しかし、交渉では「パイそのものを広げる」という発想も重要になります。

相手の問題は相手が解決すべきだと考える

交渉相手を対立する存在としてのみ捉えてしまうケースです。

本来、交渉相手は双方の問題を一緒に解決する存在でもあります。

相手の課題にも目を向けることで、新たな選択肢が生まれることがあります。

選択肢を持つことで交渉は変わる

交渉で行き詰まりを感じたときは、今回ご紹介した思考に陥っていないか、一度振り返ってみてください。

また、選択肢を創造するための具体的な方法やツールについても、今後お伝えしていく予定です。

まずは、交渉において「選択肢を複数持つこと」が重要であるという点を意識してみてください。

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弁護士山口真彦
山口真彦
弁護士

福岡県出身。

弁護士登録前は、中小企業で営業職を経験したのち、大手資格試験予備校にて行政書士・司法試験講座の講師を務め、全国1位の売上を記録。

現在は、弁護士兼社労士として企業の労務問題をメイン業務とし、専門である交渉学の知見を活かし、労働問題を「裁判をせずに、紛争を早期かつ円満に解決すること」を信条としている。

2024年には九州大学ビジネススクールを修了し、MBA(経営学修士)を取得。「法律×交渉学×経営」の視点から、企業で起きる労務問題に対して、実践的な解決策と科学的根拠に基づく防止策を提案している。

2025年、マサチューセッツ州立大学MBA講師に就任。

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