経営者の心構え

経営者のための労働法講座Vol.01-経営者の心構え-
stand.fm「ウィンベルリスクマネジメントチャンネル」書き起こし
【2025年5月15日放送 経営者のための労働法講座Vol.01 経営者の心構え】

はじめに

弁護士の山口真彦です。

本日も経営者のための労働法講座を始めていきたいと思います。

この講座では、実際の経営の現場、人事労務の現場に即して、経営者として人事労務の問題にどのように対応すれば良いかという点について解説していきます。

経営者の心構え

本日のテーマは、「人事労務における経営者の心構え」です。

いきなりですが、このテーマに対する答えをお伝えします。

人事労務における経営者の心構えは何かというと

会社は訴えられたら負け。

ということです。これをぜひ知っておいていただきたいと思います。

もう少し詳しく説明いたします。

基本的に今の日本では、従業員側が会社を訴えた場合、会社が1円も払わずに解決するという事件は正直あまりありません。

一部そのような事件もありますが、ほとんどの場合は会社がいくらか従業員にお支払いをして解決するというのが一般的です。

つまり、訴えられた時点で会社は負けが確定なんです

では、どうすればよいのか見ていきましょう。

労働トラブルの防止

その答えは、「訴えられない環境を整備すること」です。

これは、物理的に従業員が絶対に訴えを起こせないようにするということではなく、しっかりと会社を防衛していくということです。

どういったことかというと、まず、人事の場面においてはとにかく採用です。

続いて、労務の場面では、規定の整備交渉力が非常に重要になります。

そして、最後に人事と労務の両者に共通するものとしては、衛生要因の管理です。

初めて聞く言葉かもしれませんが、覚えておいてください。

もう少し詳しく説明していきます。

採用

まず、労働トラブルが起きる可能性を極限までゼロにする最強の対策が唯一あります。

それは「採用」です。

採用さえしっかりできれば、会社で労働トラブルの発生を限りなくゼロにすることができます。

そもそも、なぜ労働トラブルが発生するのか考えてみてください。

それは、「そのようなトラブルを起こす従業員を雇ってしまっているから。」なんですね。

採用についてしっかりとした対策をすることができれば、労働トラブルの発生をほぼなくすことができます

今後、そのための実践方法をこの講座の中でもお伝えしていきたいと思います。

なお、「労働トラブルを完全にゼロにする方法」というのも実はあるんです。

それは、「人を雇わないこと」です。

人を雇うからトラブルになるんです。人を雇わなければ労働トラブルの起きようがありませんよね?

最近は、全てフリーランスに業務委託して人を雇わずに会社を経営している経営者の方も実際にはいらっしゃいます。

余談ですが、そういった会社もあります。

就業規則と交渉力

次に、先ほど労務の場面では「規定の整備が重要です」とお伝えしました。

  • そもそも就業規則を作ってますか?
  • 作っているとして、どのような目的でその就業規則を作成しましたか?
  • 問題社員が万が一社内に出てきてしまった場合、その問題社員に対策するための規定は置いてますか?
  • 作った就業規則の運用はしっかり行っていますか?

挙げていくとキリがないですが、まずは就業規則や規定を作ることです。

そして、作る際にはその目的を明確にし、その目的にかなった規則を作ることが大切になります。

今からでも遅くありません

せっかくの機会ですので、就業規則を作成してみてください。

もし、既に就業規則を作ってますという方についても、就業規則の内容を一度見直してみてください。

今現在、皆さんの頭を悩ませているトラブル(小さいものも含めて)があれば、その就業規則で、頭の中に思い浮かんだトラブルを解決できる内容になっているかという点をぜひ確認していただきたいなと思います。

今後、この講座内でもオススメの就業規則の規定等を紹介していきますので、参考にしていただければと思います。

そして、労務の場面においては交渉力が重要とお伝えしました。

労働トラブルは、とにかく早期円満解決するのが一番です。

そのためには交渉力が非常に重要になります

私は、交渉学を専門分野として長年ずっと学んでいますので、実際に実務に落とし込んで誰でも使えるような形で交渉についてお伝えをしています。

興味のある方は、私のメルマガを登録していただくと、交渉学の勉強ができるようになっていますので、もしよろしければ登録していただければと思います。(メルマガの登録はこちらから!)

この講座でも交渉学の観点からの解説等も行いたいと思います。

例えば、経営者の方であれば、取得してほしくない時に従業員が有給の申請をしてきた場合について。

大変忙しい時期に有給の申請をしてきたという場合に頭ごなしに「ダメだ!」と言ってしまいそうなところですが、そうすると労働トラブルに発展してしまいます

このような場面で使えるのが「交渉力」です。

うまく交渉することによって、従業員側も会社経営者側も納得できる解決策を見つけることができるのです。

衛生要因管理

最後に、人事と労務の両者に共通するものとして「衛生要因の管理」があるとお伝えしました。

聞いたことのない方もいらっしゃるかもしれません。

正直、この講座内でお伝えするのは非常に難しい内容です。

ただ、とても大切なことになりますので、どこかの機会で別途お伝えしたいと思います。

おわりに

今回は、「経営者としての人事労務に対する心構えとそのために必要なこと」についてお伝えいたしました。

次回以降は労働法を解説しつつ、今回お伝えした心構えについて詳しく場面ごとに説明していきます。

皆さんがすぐに実践できる形でお伝えしていきますので、いいなと思ったものは実践していただければと思います。

本日は以上です。ありがとうございました。

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弁護士山口真彦
山口真彦
弁護士

ウィンベル法律事務所/ウィンベル合同会社代表。

大学卒業後、中小企業で営業マンとして勤務したのち弁護士へ。

弁護士登録後は、自身が中小企業で勤務していた経験をもとに、企業に関わるすべての人を幸せにするために弁護士にできることをテーマに日々活動している。

交渉学に基づいた交渉術を駆使し、早期円満解決がモットー。

PROFILE