刑事記録の取り寄せ方

はじめに
ウィンベル合同会社です。
今回は、前回の記事でも少し登場した「刑事記録」についてご紹介したいと思います。
刑事記録は検察庁に謄写依頼を行うことで取得できますが、取得可能な時期が決まっており、謄写申請時に必要な情報の事前確認も必要になります。
確認することが多くて大変ですが、しっかりおさえて問題なく取得できるようになりましょう!
刑事記録とは
警察が事故発生時に作成する記録です。
刑事裁判で使用される資料になり、事故の状況や当事者の供述などが詳細に記載されています。
事故が発生し、当事者が警察官から実況見分を受けている様子を見たことのある方もいるかもしれません。
その時の記録が実況見分調書です。
また、刑事記録は処分結果が決定してからでないと謄写申請ができません。
取得できる書類は処分結果により、以下のとおり異なります。
- 不起訴:実況見分調書
- 起訴:実況見分調書、起訴状、供述調書、捜査報告書、双方車両の写真等
※不起訴の場合は「不起訴記録」、起訴の場合は「確定記録」と呼ばれます。
不起訴の場合は処分結果後から謄写申請できますが、起訴の場合は刑事裁判が行われるので、裁判が終わって記録が裁判所から検察庁に戻ってからでないと謄写申請することができません。
重大な事故になると加害者が起訴される可能性も高くなりますので、刑事記録の取得にも時間がかかることになります。

謄写申請の手順
大まかな流れは、処分結果照会で必要な情報を得る→謄写申請です。
細かい手順を確認しましょう。
1.交通事故証明書の確認
物件事故になっている場合は実況見分調書等は作成されません(※代わりに「物件事故報告書」という書類を取ることは可能です)。
単に手元にある交通事故証明書が人身事故へ切り替え前に発行されたものである可能性もあります。
切り替えしているか依頼者に確認をとりましょう。
管轄の検察庁を調べるためです。
以前は警察署に電話して送致先の検察庁や送致番号を教えてもらえましたが、最近は一切教えてもらえないことがほとんどです。。
送致番号が分かると検察庁に処分結果照会を行う際に便利でしたが、送致番号が分からなくても回答してもらえる場合が多いので、確認は不要かと思います。
2.検察庁の担当課宛に処分結果照会
管轄の検察庁によって照会方法や謄写申請の流れが異なります。
FAX回答、電話回答、弁護士会照会制度での回答のみ(弁護士法第23条の2に基づき、弁護士会が、官公庁や企業などの団体に対して必要事項を調査・照会する制度)など様々です。
初めて照会する検察庁の場合、事前に電話でお尋ねしましょう。
処分結果(=起訴/不起訴)、処分年月日、罪名を確認しましょう。
もし、処分結果が出ていない場合は【捜査中/起訴されているが、裁判中】などと言われるので、時期を改めて照会しましょう。
検察庁によっては、処分結果がでたら連絡してくださるところもあります。
※事故直後に連絡しても処分結果はまだ出ていませんので、数か月経過してから処分結果照会をするとよいでしょう。
3.回答内容の確認、謄写申請の準備
検察庁に出向いて謄写記録を閲覧・謄写することもできますが、謄写人(申請者の代理で謄写を行う方)に謄写してもらうこともできます。
遠方の検察庁の場合は謄写人に謄写をしてもらい、郵送で送ってもらう流れになります。
注意事項
刑事記録には保管期限があります。
事件の種類や処分結果によって異なりますが、交通事故の場合は以下のとおりです。
※罪名が「道路交通法違反」のみですと、1~3年の場合もあります。
※罪名によっては、10~30年の場合もあります。
取得予定だったのに、失念していた。ということがないように注意しましょう。
特に事故から一定期間を経過してから受任した場合、保管期限が直近に迫っている可能性もあります。
残りの保管期限を確認するようにしてください。

おわりに
刑事記録の取り寄せ方について、いかがでしたか?
過失争点の事案は刑事記録を取り寄せる機会が多いと思いますが、謄写方法が全国で統一されていないため、手間がかかりますよね。
そのため、検察庁ごとにエクセル等で謄写申請方法をまとめておくと、スタッフ間で情報共有ができて便利だと思います!
今回はここまでです。次回もどうぞお楽しみに!!